セルフライナーノーツ
2023年3月に書いた曲です。
最初はボカロ曲として発表しましたが、ライブで弾き語りでの披露もするようになりました。ボカロ曲として発表したときのオケを使ったセルフカバー音源が、私の1st single 「モラトリアムのゆくえ」に収録されています。
この曲を書いたきっかけはとある友人が、ステージから離れる決断をしたことでした。
私は彼女の音楽が大好きで、音楽に向き合う姿勢を尊敬していました。少なくとも私は、お互いに音楽を続けて切磋琢磨していく未来を想像していたし、ずっと表舞台にいてほしいと思っていました。でも彼女の決断を前に私にできたのは、無力感や寂しい気持ちを押し殺して応援することだけでした。
だから私は、多少の傷を負っても、あなたの幸せを願う歌を歌っていたい。この感情をどうしても音楽で残しておきたくて「minamo」を書きました。
ちなみに誤解のないように付け加えておくと、彼女は音楽が嫌になって辞めたわけではなく、未来のための前向きな決断です。だからきっと、こんなふうに考える必要はなかったのだと思います。
この曲は、自分自身の感情と音楽とを切り離すために、ボーカロイドの力を借りて発表しました。自分の中でこれはフィクションなのだと区切りをつけたかったのかもしれません。
ボカロ曲として発表したのにライブで弾き語りをするようになった理由は、彼女への思いが昇華できたからだと今は考えています。自然な心の動きだったので上手く説明はできないのですが、彼女と音楽の場で再会できたことが自分の心境に変化を与えてくれたのかなと思っています。
minamo=水面 は
自分自身の青さ、脆さ、不器用さを映す鏡のようなものだと思っています。そして、彼女の瞳の奥、海の底にはたどり着けない自分を表しています。本当はもっとわかりたかった。そんな気持ちを音楽に閉じ込めました。
たとえ海の底に届かなくても、この歌がそっと寄り添えますように。
歌詞
二人 青春の缶ジュースを 甘さに惑わされて
刺さる炭酸の槍を恐れ 嫌な予感がした
一人 無意味な街灯が 照らす田舎道
自転車をこぐ 足の重さを おぼえておきたいな
打ち明けてくれた 傷跡 癒せないけど
全部分かち合おう 雫が枯れるまで
水面を見ていた 心の青さを見透かす眩しさ
誰かじゃなくて あなたの心を救える音楽がしたいな
わたしはずっと奏でていくつもり 痛くても
あなたの音楽は特別 光っている
夜に 会話を反省しながら 落ちる 眠りのなか
朝は 綺麗すぎるから 苦手 もう起きなくちゃ
書き溜めていた言の葉 こぼれそうでさ
上手く笑えないのなら 無理することはないよ
水面を見ていた 心の脆さを鎮めた波音
誰かじゃなくて あなたの心を救える音楽がしたいな
誰よりずっと輝ける原石 持っている
あなたのこれからを わたしは見たかった
諦めたような 瞳が忘れられなくて
あなたの海の底を知らないのに
不器用すぎた あの日を思い返して泣きたくなったの
誰かじゃなくて あなたの幸せを願っているんだよ
水面を見ていた 心の青さを見透かす眩しさ
誰かじゃなくて あなたの心を救える音楽がしたいな
わたしはずっと奏でていくつもり 痛くても
あなたの音楽は特別 光っている
二人 青春の缶ジュースを 甘さに惑わされて
刺さる炭酸の痛みも 全部 必要だったの
作詞作曲/千紘
